テキスト・エンコーディング・ガイドライン(文書電子化指針)のXML 版の新規出版について

テキスト・エンコーディング・イニシティブ (TEI) コンソーシアム(http://www.tei-c.org) は、「P4」として知られている、ガイドラインの新しい版の出版を発表した。 設立から2年目の TEI コンソーシアムは国際非営利法人として、1994 年の第1版公開以来、学術的電子テキストにおける事実上の標準となった、TEI システムのメンテナンスと開発の為に創立された。 XML 完全準拠となった TEI ガイドラインの新しい版の公開は重要な意味を持つ進歩であり、TEI は電子図書館や WWW 開発の現在のメインストリームと歩調を揃えることとなる。この新しい版は数か月前からネットワーク上で公開されたが、今回は製本された印刷版がヴァージニア大学出版局 (http://www.upress.virginia.edu/) によって出版され、国際的な学術交流と協力の長期にわたる運動の歴史の新たな一里塚として記録されるであろう。

ここで TEI ガイドラインに関して簡単に説明する。TEI ガイドラインはテキストがどのように構成されるかを記述したり、テキストの構成要素の名前を提案するための言語を定義する。このような名前の標準集合を定義することによって、異なる表現のテキストを大規模なデータベースに統合することが可能となり、研究者が望む共同作業のための共通言語を提供することができる。産業界にはこのような標準タグ集合(ボキャボラリー)が多数存在している(例えば、銀行業界や航空機メンテナンスや化学モデリングなど)。TEI の成功は文献学や言語学的のデータ ― ともに過去の書かれた文化の研究と言語の研究のための ― に対して同様なことを試みたことである。

TEI コンソーシアムは設立1年で会員数が次代に上昇し、2002年5月現在では世界中の小規模な大学研究プロジェクトから主要な学術図書館と研究機関にわたる56名の会員を擁するようになった。TEI コンソーシアムは会員に対して、TEI 選挙への参加、教育や訓練の優先参加、助成金申請相談、TEI ガイドラインの無料あるいは割引提供等の、幅広い特典を提供している。TEI コンソーシアムは現在新規会員を募集中である(問い合わせ先 info@tei-c.org)。

TEI コンソーシアムの第2回会員総会が2002年10月11日〜12日にシカゴのニューベリー図書館で予定している。年総会では会員が最新の情報や計画を聞いたり、会員の間で研究成果を共有したり、特別研修セッションに参加したりすることができる。年総会では TEI の戦略と財政上の計画を担当している理事会と技術的な活動の計画を担当している委員会の選挙も行う。会員の参加は無料で、非会員は US$50 の参加費がかかる。

TEI ガイドラインとコンソーシアムについて詳細情報は TEI コンソーシアムのホームページにある。ガイドラインの編集者はオックスフォード大学のルー・ベルナールlou.burnard@oucs.ox.ac.uk, tel +44 1865 273 221)とブラウン大学のシッド・バウマンsyd_bauman@brown.edu, +1 401 863 3835) である。

編集者へ

1. P4 の製本版はヴァージニア大学出版局(或はTEIのホームページ http://www.tei-c.org/Services/)から1冊 US$90 で入手できます。TEI コンソーシアム会員には1部が無料配布され、さらに多くの部数を必用とする会員には特価 US$60 で頒布される。

2. TEI コンソーシアム事務局はノルウェーのベルゲンにあり、ベルゲン大学(ノルウェー)、ブラウン大学(アメリカ)、オックスフォード大学(イギリス)とヴァージニア大学(アメリカ)の4大学によって運営されている。TEI コンソーシアムは理事会による運営され、技術的な活動は選挙された委員会が監督する。実際の作業は小人数の専門家で構成されたワーキング・グループで行われ、その結果は北米と欧州所属の2人の編集者によってまとめられた。

3. TEIの制定作業は1988年に3つの文学・言語学分野における情報学の応用を主導する学術協会の後援の下、米国人文科学基金、欧州連合言語工学技術事務室、カナダ人文社会科学研究会議、メロン財団などによる多額の助成金の支援によって開始された。世界各地から参加した200人近くの技術的・学術的専門家によって、ほぼ全ての種類のテキスト、言語、文化、コンピュータ・システムに適用可能な機械可読表現のための仕様を勧告してきた。これらの勧告は当初 SGML というコンピュータ規格によって表現されていたが、最近 TEI はWWW のための新しい言語である XML を用いて書き直された。

4. TEI は電子図書館の発展、言語工学技術の進展と WWW の発達といった分野に対して大きな影響力を示した。XML 規格の関係者数名や編集者1名を含む、XML の開発責任者の多くが TEIの発展にも深い関わりを持っていた。

5. デジタル通信が普及すると共に、今日のコンピュータ・システムのようにはかない存在ではなく、より長期的に利用可能な標準が次第に必用となる。テキスト交換のための標準を定義するということによって、TEI は現在各地で構築されているデジタル文化財の未来を保証する。ここで標語:「昨日の情報、明日のため」.